13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「何でっ!?何でそんな、知らなかったみたいな態度してたのっ!?」

みんなの前でいる亜耶は、今までの亜耶は、私と先輩が別れたことすら知らない顔をしていた。

知らなかったなんて……そんなはずはないのに。

振り返った亜耶は、驚いた顔をしていたけど、ゆっくりと口角を上げて、

「楽、だからかなぁ……」

清んだ夜空を見上げて答えた。

「何も知らない、大して興味もない……そんなフリしてた方が、楽だから。あたしも……先輩も……ね」

言葉の最後で亜耶は私を見て、にっこりと笑った。



亜耶と藤原先輩が、付き合ってたなんて想像出来ないし、

亜耶の気持ちは分からない。

だけど、亜耶がどれだけ藤原先輩を好きか……それは充分すぎるほど伝わった。

藤原先輩と戻って欲しいって、今にも泣きそうな顔で私に訴えた亜耶。

生半可な気持ちじゃそんなこと出来ないことくらい、私にだって分かる。

藤原先輩の幸せを心から願う亜耶は、本当に本当に藤原先輩のことが好きなんだ。


軽い気持ちで藤原先輩と付き合って、そして別れた私は……先輩と翔だけじゃなく、亜耶のことまでも傷付けていた。

そこまで気付いてしまったら、どうすればいいか……益々分からなくなって、

自分の中の“恋心”が、とても迷惑なもののような気がして、憎く思えた――。