「何でっ!?何でそんな、知らなかったみたいな態度してたのっ!?」
みんなの前でいる亜耶は、今までの亜耶は、私と先輩が別れたことすら知らない顔をしていた。
知らなかったなんて……そんなはずはないのに。
振り返った亜耶は、驚いた顔をしていたけど、ゆっくりと口角を上げて、
「楽、だからかなぁ……」
清んだ夜空を見上げて答えた。
「何も知らない、大して興味もない……そんなフリしてた方が、楽だから。あたしも……先輩も……ね」
言葉の最後で亜耶は私を見て、にっこりと笑った。
亜耶と藤原先輩が、付き合ってたなんて想像出来ないし、
亜耶の気持ちは分からない。
だけど、亜耶がどれだけ藤原先輩を好きか……それは充分すぎるほど伝わった。
藤原先輩と戻って欲しいって、今にも泣きそうな顔で私に訴えた亜耶。
生半可な気持ちじゃそんなこと出来ないことくらい、私にだって分かる。
藤原先輩の幸せを心から願う亜耶は、本当に本当に藤原先輩のことが好きなんだ。
軽い気持ちで藤原先輩と付き合って、そして別れた私は……先輩と翔だけじゃなく、亜耶のことまでも傷付けていた。
そこまで気付いてしまったら、どうすればいいか……益々分からなくなって、
自分の中の“恋心”が、とても迷惑なもののような気がして、憎く思えた――。



