13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


何気ない話をしながら帰る。

気持ちを気付かれない様に、他の女の子とも仲良くしてるけど、どうしても苺先輩は特別扱いになってしまって、気付かれるのは時間の問題かもしれない。
いや、気付いている人もいるだろう。

それでも、苺先輩のやんわりとした雰囲気が心地良くて、この時間が何よりも楽しみだった。

「……あ、苺先輩ちょっと待って下さい」

もうすぐ分かれ道。
俺は足を止めて、ポケットの中に手を入れた。

「これ」

取り出した一枚のメモを渡す。

「何?」

苺先輩は2つ折りにしたそれを、開いて見た。

「…アドレス…?」
「はい、明日から合宿なんで!」

顔は笑ってるけど、緊張して少し震える声に、苺先輩は気付いてないだろうか。

「合宿…?あ、新入生の?」
「はい」

高校生としての自覚を学び、クラスメートと親睦を深める為、1年生は明日から2泊3日で合宿に出掛ける。

「何かあったらメールして下さい!」

“何か”なんてあるはずもないけど…あっても俺に言う事ないだろうけど、アドレスを交換する口実は、これしか考えつかなかった