だからそれは、とても簡単に出来てしまうことなのに……
檜山の腕を掴むどころか、檜山の前に立てない、檜山と目を合わせることすら出来ない、そんな俺がいた。
頭から離れない、檜山の泣き顔。
子供みたいに泣きじゃくる、あんな檜山は初めてで……
“壊してしまった”
そう思った。
俺が近付いたら、目を合わせたら、また壊してしまう……
そんな気がして、怖くて近付けない。
このままは“嫌”だって、それはハッキリ分かるのに、
どうして“嫌”なのか、
何が“嫌”なのか、
どうすればいいのか、
それは全く分からなくて、
ただ、お互いに避け合う、
静かすぎる日々が過ぎていた――。



