「俺はバレー楽しくやれたらいいだけだからさ、お前らのことをとやかく言うつもりはないけど……」
友達は一歩近付いて来て、
「檜山さん、藤原先輩のこと気になってるみたいだぞ」
と、誰にも聞こえないように、小さな声で言った。
更に「翔はそれでいいの?」と、俺を追い込む質問。
ほぼ同時に、「翔ー!早く!」と呼ぶ声がして、
「……檜山が先輩と戻りたいなら、それでいいんじゃね?その方が全部丸く収まるし……」
言いながら元の場所へと、足を進め始めた。
「へぇー。翔も檜山さんのこと、まんざらでもなさそうだったけど、違うんだ?」
背中に投げ付けられたその質問に、俺は肯定も否定も出来なかった。
檜山が何か藤原先輩について、みんなに聞き回っているのは、俺も噂で知っていた。
思い出すのは、『藤原先輩と復縁して欲しいの?』と、涙ぐんで言った檜山の言葉で、
どうしようもなくモヤモヤするし、何故かイライラしてる。
本当は今すぐにでも、檜山の腕を掴んで連れ去ってしまいたい。
檜山はすぐ近くに、同じ空間にいる。



