13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「……翔!翔っ!!」

俺を呼ぶ声が耳に届いて、ハッと顔を上げる。

「何ボーッとしてんだよ!」

友達が言いながら指を指した先を見れば、床に転がったバレーボール。

「あっ!悪りいっ!」

部活の最中、俺は自分へ向けられて飛んできたボールに気付かないくらい、ボーッとしていたらしい。

少し焦ってそれを拾いに行く……と、誰かの手が伸びて、

ボールを拾ってくれたのは、金曜日に話をした、あの友達だった。

「大丈夫か?」

「ほら」と、軽く投げられたボールを、「サンキュ」と受け取る。

「檜山さんと何かあった?」

「……」

聞かれた質問に答えられず、無言になる俺に、友達は「ごめん」と小さく謝った。

「いや、教えてくれて感謝してる」

あのまま何も知らなかったらと思うと……色んなことが怖い。

「じゃあさ、ひとつ聞いていい?檜山さんとは別れたわけ?」

「……分かんねぇ」

俺が一言ボソッと答えると、友達は「はぁ!?」と、呆れたような声を上げた。

でも、本当に分からない。

『大嫌い』と言われたけど、『別れる』とは言われてなくて。

そもそも、本当に“付き合っている”関係だったのかすら、危うくて。