「あ……」
何の悪気もなく、純粋に微笑む亜耶の表情に、胸が苦しくなる。
「別に……大したことじゃなかったよ」
泣きそうになってしまいそうになるのを、グッと堪えて笑った。
「え……でも……」
「本当に!そんなことで呼ぶなって感じのことだったから!」
きっと何かおかしいと感じただろう亜耶に、私は深く詮索されたくなくて、更に笑ってみせた。
聞かないで。触れないで。
今は自分でも考えたくない。
“翔と私”のことは、考えたくない。
それを考えると、嫌で嫌でたまらなかった学校。
行くためには……行かなきゃならない理由が必要だった。
藤原先輩の元カノ捜しは、その“理由”。
もちろん、私自身が知りたいって思う気持ちもあるし、
翔と藤原先輩、ふたりに申し訳なく思ってる気持ちも本物。
だけど、
私は逃げたかった。
今、私自身の状況を考えることから、とにかく逃げたかった――。



