「藤原先輩の元カノ?」
私の質問に、立ち止まってきょとんとしたのは、同じバレー部の友達。
「それって佳奈のことでしょ?」
「いや、私の前!私の前に付き合ってた人!」
「知らない……てか、佳奈の前に誰かと付き合ってたとか、聞いたことないよ」
あんなに憂うつに思っていた、月曜日の朝。
私はバレー部の友達に会うなり、藤原先輩の元カノについて、片っ端から聞いていた。
元カノを知って、どうしたいのかは分からない。
ただ、藤原先輩はどうして私のことを好きになったんだろう……そんなことを考えていたら、行き着いた先は“元カノ”だった。
私と付き合う前、初めて言葉を交わした夏祭りの夜、藤原先輩は確かに「彼女と一緒にいた」ということを言っていた。
自分のことで精一杯だったから、はっきりと覚えているわけじゃないけど……あの時、先輩は悲しそうな顔をしていて、
何となく“元カノ”が、私を好きになってくれた理由に、関係しているような気がした――。
藤原先輩に、私の前に彼女がいたのは確かな事実。
なのに、
「そっか……ありがと」
誰もそのことを知らない。



