「待たせてごめんねっ」
いつの間にか掃除は終わったらしく、教室から苺先輩が出て来た。
今度は、ほうきではなく鞄を手に持っている。
「……」
苺先輩は廊下に出ると、確認するように周りを見る。
何かあるのだろうか…。
俺も追うように周りを見るけど、人が通り過ぎて行くぐらいで、特に何も目につかない。
「翔くん、どうかした?」
前に向き直ると、苺先輩は首をかしげて俺を見ていた。
「あっ……いや、何でもないです」
付き合ってるとか、付き合ってないだとか噂されてるから、きっと周りの目が気になるんだろう。
そう思った俺は、何を見ていたのか…あえて聞かなかった。
「じゃあ、帰りましょうか?」
「そうだね」
にっこりと笑って、返事を返してくれる先輩の姿に癒される。
始めの頃は通学路で待っていても、時間をずらして早く登校してたり、放課後には先に帰ってたりと、はっきり言って避けられていた。
だけど、諦めずに付き纏って3週間。
やっと慣れてくれた感じ。



