13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


翔にこんなこと言うの、おかしいって分かってる。

だけど、翔には言われたくなかった。

翔にだけは藤原先輩とのこと、何も言われたくなかった――。


涙で滲んだ視界に映る翔は、放心状態で黙っている。

「……もういいよ。ごめん」

言いながら、私は自分の涙をごしごしと拭う。

さっきは翔の言葉に傷ついたけど、何も言ってくれないのも辛い。

だから、

「翔の望みは……何?」

こんなこと聞いちゃいけないって思いながら、

「私に藤原先輩と……復縁してほしいの?」

震える声を絞り出していた。

欲しかったのは、否定する言葉。

だけど、翔は黙ったまま……目を逸らした。

何で……。

「っ、何で何も言わないのっ!?」

止めようとしていた涙は、また勢いを増して零れ落ちる。


「……嫌い。翔なんか大っ嫌いっ!!」


別に、翔が私のことを好きだなんて思っていない。

……だけど、信じてた。

私の気持ちを知った今、翔ならきっと否定してくれるって、信じてたのに――。


私は大きな声で言い捨てて、その場から走り去った。