13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……っ」

呆れるくらい、単純な私。

さっきまでふてくされた顔をしていたくせに……もう笑ってる。

でも、本当に嬉しかった。

他の誰からじゃなく、翔自身から言ってもらえたことが、本当に嬉しかった。


教室へと向かう足取りは、自然と軽くなる。

そして早く体育館へ行きたいと、翔の顔が見たいと、単純すぎる私は思っていた。


数時間後、これから起こる出来事も知らずに――。




「亜耶、帰ろっ!」

部活終了後、私が声をかけたのは亜耶。

同じクラスになったこともあって、私達は毎日一緒に帰るくらい、とても親しくなっていた。

「佳奈ちゃん、今日はご機嫌だね」
「えっ?」

廊下を歩きながら、亜耶の指摘にドキッとする。

「調子もすっごく良かったし、嬉しそうににこにこしてるし……何か良いことでもあった?」
「あ……」

どうしてだろう。
普段は自分のことなんて話したくはないはずなのに、今日はとても喋りたくなった。

翔とのこと……聞いて欲しくなった。

……でも、

「ん、ちょっとね」

藤原先輩とのこともあるし、亜耶に言うのは気が引けて、私は笑うだけにした。