「……っ」
呆れるくらい、単純な私。
さっきまでふてくされた顔をしていたくせに……もう笑ってる。
でも、本当に嬉しかった。
他の誰からじゃなく、翔自身から言ってもらえたことが、本当に嬉しかった。
教室へと向かう足取りは、自然と軽くなる。
そして早く体育館へ行きたいと、翔の顔が見たいと、単純すぎる私は思っていた。
数時間後、これから起こる出来事も知らずに――。
「亜耶、帰ろっ!」
部活終了後、私が声をかけたのは亜耶。
同じクラスになったこともあって、私達は毎日一緒に帰るくらい、とても親しくなっていた。
「佳奈ちゃん、今日はご機嫌だね」
「えっ?」
廊下を歩きながら、亜耶の指摘にドキッとする。
「調子もすっごく良かったし、嬉しそうににこにこしてるし……何か良いことでもあった?」
「あ……」
どうしてだろう。
普段は自分のことなんて話したくはないはずなのに、今日はとても喋りたくなった。
翔とのこと……聞いて欲しくなった。
……でも、
「ん、ちょっとね」
藤原先輩とのこともあるし、亜耶に言うのは気が引けて、私は笑うだけにした。



