「……へ?」
檜山の表情が、機嫌の悪そうなものからきょとんとしたものに、一瞬にして変わって、
「えっ!あ……あっ!」
俺、何言ってんだ!?
自分の発言を冷静に考えて、焦る。
「えと……昨日、苺先輩と一緒にいるとこ見てただろ?あれには、ちょっとした事情があって……」
……って、更にこんなこと言ってどうすんだよ!!
チラッと目線を上げれば、檜山はやっぱりきょとんとした顔でこっちを見ている。
「あ……あれだよ、あれ!俺達一応付き合ってんだろ!?だから……念のため言っとこうと思っただけ!」
自分でも意味が分からなくなりながら、いつか檜山に言われた気がする言葉を、必死に返した。
「じゃあ、そんだけだから!」
恥ずかしいのと気まずいのとで、俺はパッと手を離すと、檜山の顔も確認せずに背を向けた。
マジで何言ってんだよ……。
あれじゃまるで、檜山に勘違いされたくないみたいだ。
でも、
頭でどれだけ考えても、伝えたい言葉は見付からなかったのに、
とっさに口にしていた言葉。
認めることにためらうけど、
それは間違いなく本心だった。
檜山に苺先輩との仲を、勘違いされたくなかった――。



