13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……へ?」

檜山の表情が、機嫌の悪そうなものからきょとんとしたものに、一瞬にして変わって、

「えっ!あ……あっ!」

俺、何言ってんだ!?

自分の発言を冷静に考えて、焦る。

「えと……昨日、苺先輩と一緒にいるとこ見てただろ?あれには、ちょっとした事情があって……」

……って、更にこんなこと言ってどうすんだよ!!

チラッと目線を上げれば、檜山はやっぱりきょとんとした顔でこっちを見ている。

「あ……あれだよ、あれ!俺達一応付き合ってんだろ!?だから……念のため言っとこうと思っただけ!」

自分でも意味が分からなくなりながら、いつか檜山に言われた気がする言葉を、必死に返した。

「じゃあ、そんだけだから!」

恥ずかしいのと気まずいのとで、俺はパッと手を離すと、檜山の顔も確認せずに背を向けた。


マジで何言ってんだよ……。

あれじゃまるで、檜山に勘違いされたくないみたいだ。

でも、

頭でどれだけ考えても、伝えたい言葉は見付からなかったのに、

とっさに口にしていた言葉。


認めることにためらうけど、
それは間違いなく本心だった。


檜山に苺先輩との仲を、勘違いされたくなかった――。