苺先輩が仲直りしたと聞いた今、
気になっていることはひとつ。
それは――。
「……あ」
放課後。体育館へ向かっていた俺は、避けられていた人と向かい合う形で会った。
「……」
明らかに目が合ったのに、そいつはすぐに目を逸らして、通り過ぎようとする……けど、
「檜山っ!」
すれ違いざま、俺は腕を掴んで呼び止めた。
檜山は黙ったまま、「何よ」と言わんばかりの目で俺を睨む。
「どこ行くんだよ」
「教室。忘れ物したの」
フイッと顔を逸らされて、素っ気ない返事。
「何怒ってんの?」
「……怒ってなんかない。離してよ」
檜山は腕を振って払い落とそうとするけど、俺は離さない。
「怒ってんじゃん」
「怒ってない」
「じゃあシカトすんなよ」
「してないって」
これでもかというくらい、往生際の悪い檜山。
「ねぇ離してよ、部活遅れるでしょ!?」
その態度に正直ムッとする。
だけど、喧嘩をするために呼び止めたわけじゃない。
「何で怒ってんのか知らないけどさ……」
腕を掴んだ手に、無意識のうちに力がこもる。
「苺先輩と何もないから」



