13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


苺先輩が仲直りしたと聞いた今、

気になっていることはひとつ。

それは――。



「……あ」

放課後。体育館へ向かっていた俺は、避けられていた人と向かい合う形で会った。

「……」

明らかに目が合ったのに、そいつはすぐに目を逸らして、通り過ぎようとする……けど、

「檜山っ!」

すれ違いざま、俺は腕を掴んで呼び止めた。

檜山は黙ったまま、「何よ」と言わんばかりの目で俺を睨む。

「どこ行くんだよ」
「教室。忘れ物したの」

フイッと顔を逸らされて、素っ気ない返事。

「何怒ってんの?」
「……怒ってなんかない。離してよ」

檜山は腕を振って払い落とそうとするけど、俺は離さない。

「怒ってんじゃん」
「怒ってない」

「じゃあシカトすんなよ」
「してないって」

これでもかというくらい、往生際の悪い檜山。

「ねぇ離してよ、部活遅れるでしょ!?」

その態度に正直ムッとする。
だけど、喧嘩をするために呼び止めたわけじゃない。

「何で怒ってんのか知らないけどさ……」

腕を掴んだ手に、無意識のうちに力がこもる。

「苺先輩と何もないから」