苺先輩はもちろんだけど、そんな苺先輩と付き合っている――
「あ、西藤先輩とは?」
俺が思い出したように聞くと、中野先輩はニッと笑顔で返事した。
「良かった……」
それは、心から零れる気持ち。
……なのに、
「本当に〜?苺達が別れた方が良かったと思ってんじゃないの?」
肘でうりうりと、中野先輩は俺を小突く。
「やめてくださいよー。本気で良かったと思ってますってば!」
「……なら、良かった」
柔らかく微笑んだ中野先輩は、安心したような表情で、
「ありがとうございます」
“良かった”その言葉の中には、失恋から立ち直れた俺のことも、きっと含まれていた。
「じゃあ、わたしそろそろ戻るね。あんまり離れると……メグに苺とられそうだから」
自分で言って笑いながら、中野先輩は「バイバイ」と背を向けた。
教室へと戻りながら、俺もフッと笑う。
だって、俺の予想通り一日で、本当に仲直りしてしまっているから。
素直すぎる苺先輩。
だから、友達にも彼氏にも好かれてて、すぐに仲直り出来るんだと思った。
そんな苺先輩のことが、好きで好きでたまらなかったはずなのに……今は驚くほど静かな気持ちで。



