あー……もう!!
自分の中の、正体不明の気持ちに苛立ちを隠せず、教科書を乱暴に机の中に入れる……と、
「翔くーんっ!」
呼ばれた声に、ハッと振り返る。
「翔くん!翔くん!」
教室のドアの前で、手招きしながら遠慮なく俺を呼んでいたのは……中野先輩だった。
「仲直り……したんですか?」
廊下に出て言った俺の第一声に、中野先輩は驚いた顔をした後、「良く分かったね」と笑った。
用件を聞かなくても分かったのは、中野先輩がとても嬉しそうだったから。
その表情を見れば、容易に予想出来た。
「何かね、メグがヤキモチ妬いてたみたい」
「ヤキモチ?」
「うん。王子に苺とられた気がして、どーしよーって。何だそんなことで喧嘩したの?……って、聞いて呆れちゃった」
言いながら苦笑する中野先輩。
確かにそれは、周りを騒がした割には呆れるような理由で、俺も一緒になって苦笑する。
でも……
「でも、分かるような気がします」
間先輩が、西藤先輩に抱いた嫉妬心。
「……うん。わたしも」
中野先輩も小さく頷いて、
苺先輩が、いかに周りから好かれているかを実感した。
そして、やっぱり羨ましく思う。



