13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……先輩?」

そんな藤原先輩に、少し慌てて声をかけたのは、

それが、寂しそうな微笑だったから……。

「大丈夫なら、練習しような」

ポンッと俺の肩を叩いて、今度はいつもの笑顔で言うと、先輩は離れて行った。


藤原先輩、どうしたんだろう……。

すごい噂になっているのは事実で、気になっている人は沢山いて、先輩に訊ねられたことは、ごく普通のこと。

でも、今までどんなに噂になっていても、藤原先輩はそれを俺に聞いてくることはなかった。

だから人の恋愛とかそういうの、気にしない人なのかなって思ってた。


……そういえば、藤原先輩って彼女とかいんのかな。

バレー部の男子の間で、恋愛の話になることはよくある。

でも、不思議と藤原先輩のそんな話は聞いたことがなくて、後ろ姿を見ながらぼんやりと考えた。



結局その日、檜山を捕まえることは出来なかくて、


そして迎えた翌日――。


伝えたい言葉が見付かったわけじゃないのに、クラスが違うせいで顔すら合わせることがなくて、

何故だかとても焦っていた。