誰が何を見て、何を聞いたのか分からないけど、
苺先輩と西藤先輩が別れて、西藤先輩は間先輩と、苺先輩は俺と付き合い始めたという噂が、学校中に流れていた。
「あれって本当?」
藤原先輩の質問に、俺は「いえっ」と短く否定して、首を横に振る。
あの後……少し遅れて追いかけて行ったら、苺先輩は廊下で立ちすくんでいた。
その様子から、やっぱり西藤先輩に誤解されてしまったんだと察した。
責任を感じる俺に、「大丈夫、謝りに行ってくるね」と、笑った苺先輩。
その後のことは詳しく知らないけど、間先輩との間にも何かあったことを、中野先輩から聞いた。
俺が下手に話をしてしまうと、噂は加速してしまうだけから、変に口を開けない。
ただ、ひとつだけ事実を言えるなら……
「俺は先輩と付き合ってないですよ」
噂を聞いた時は、笑ってしまった。
苺先輩が俺と付き合うことがなければ、
苺先輩と西藤先輩が、この程度のすれ違いで別れるはずもない。
「たぶん……明日には、丸く治まってると思います」
周りが思っているよりも、ふたりは強い気持ちで繋がっているんだから――。
俺の発言に、藤原先輩は「そっか……」と、微笑んだ。



