「翔くん?どうしたの?」
「え……」
目の前には、弁当の包みを持った苺先輩が立っていた。
「あ……ううん。何でもない」
俺は「どこ行く?」と、言葉を続けて笑った。
苺先輩とふたりで、向かった先は中庭。
色んな意味で有名になった俺達は、みんなに話を聞かれていそうで、もう教室ではとても一緒にいられない。
だからと言って、中庭も目立つかな……と思ったけど、ほとんどの生徒は教室内にいるわけで、そこは予想以上に静かだった。
「いきなり来るから、びっくりしちゃったよ」
「ごめん、ごめん」
中野先輩に頼まれたことは隠して、俺は他愛もない話をした。
こうしてゆっくり話すのは久しぶりで、懐かしくて楽しくて、ふたり目を細める。
苺先輩が元気そうなら、何も聞かないつもりだった。
でも、話の合間、笑った後にふと寂しげな表情を見せるから、
「何か……悩んでる?」
そっと触れるように聞いてみた。
苺先輩は「え」と、一度驚いた顔をするけど、すぐに「翔くんには敵わないな」と苦笑して、悩みを打ち明けてくれた。
「友達と……ちょっと喧嘩してるみたいになっちゃって……。どうしたらいいのかな……」



