「中野先輩は?」
「わたしはこれから、バスケ部の集まりがあるんだ」
「ごめんね」と、申し訳なさそうに謝って、中野先輩は走って行った。
何で俺に頼むんだろう……なんて少し思うけど、何となく予想はついている。
きっと、西藤先輩絡みのこと。
じゃないと、中野先輩は真っ先に、西藤先輩に頼むと思うから……。
教室へ戻って、母さんが作ってくれた弁当を持つと、またすぐに教室を出た。
向かった先は、3年生の教室。
苺先輩が何組になったのか知らなくて、どうしようかと思ったけど……廊下を歩いていたら、見知らぬ人が2組だと教えてくれた。
俺と苺先輩が仲が良かったこと、まだ覚えてくれている人がいることが嬉しかった。
「津田先輩いますか?」
ちょうどドアの前に立っていた先輩に聞くと、「津田さん」と呼んでくれた。
陰から覗き込んだ苺先輩の教室は、クラス換えのせいで、全く知らない雰囲気のものとなっている。
苺先輩は、クラスメイトの女子と立ち話をしていたようで、俺を見るなり目をまん丸にした。
「翔くんっ!どうしたの?」
そう言って駆け寄ってくれた苺先輩は、本当に驚いていて、当たり前に来ていた頃を思うと、少し寂しい。



