13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「久しぶり」

そう挨拶するほど会っていなかったことに、今更気付いた。

俺が2年に、苺先輩が3年に進級してから、一度も顔を合わせてなかったかもしれない。

「えと……ちゃんと入部したの?」
「うん、今から部活!すっげー大変!」

苺先輩の質問に、俺は笑顔で返す。そして、

「苺先輩は?……あ、西藤先輩待ってんの?」

ごく普通にしたつもりの質問。

だけど苺先輩は、気まずそうな笑顔を浮かべて「うん……」と頷いた。

その様子にきょとんとするけど、すぐに笑顔が込み上げる。

もう……気にしなくていいのに。

「仲良くていいなっ!」

“俺はもう気にしてないよ。だから、苺先輩も気にしないで”

そんな意味を込めて、俺は笑って言った。

通じたのかどうかは分からない。
でも、苺先輩はゆっくりと微笑んでくれた。

「じゃあ、また!」

部活に行かなきゃならない俺は、笑顔のまま手を振って、苺先輩に背を向ける。

久しぶりに話せて嬉しかった。

それに……

玄関から少し遠ざかった所で、振り向いてみた。

小さな苺先輩の隣には……大きな西藤先輩。

ふたりは、とても楽しそうに笑い合っていた。