「久しぶり」
そう挨拶するほど会っていなかったことに、今更気付いた。
俺が2年に、苺先輩が3年に進級してから、一度も顔を合わせてなかったかもしれない。
「えと……ちゃんと入部したの?」
「うん、今から部活!すっげー大変!」
苺先輩の質問に、俺は笑顔で返す。そして、
「苺先輩は?……あ、西藤先輩待ってんの?」
ごく普通にしたつもりの質問。
だけど苺先輩は、気まずそうな笑顔を浮かべて「うん……」と頷いた。
その様子にきょとんとするけど、すぐに笑顔が込み上げる。
もう……気にしなくていいのに。
「仲良くていいなっ!」
“俺はもう気にしてないよ。だから、苺先輩も気にしないで”
そんな意味を込めて、俺は笑って言った。
通じたのかどうかは分からない。
でも、苺先輩はゆっくりと微笑んでくれた。
「じゃあ、また!」
部活に行かなきゃならない俺は、笑顔のまま手を振って、苺先輩に背を向ける。
久しぶりに話せて嬉しかった。
それに……
玄関から少し遠ざかった所で、振り向いてみた。
小さな苺先輩の隣には……大きな西藤先輩。
ふたりは、とても楽しそうに笑い合っていた。



