「そんなん決まってんじゃん」
翔はニッと笑って続けた。
「高校生活楽しまねぇと意味ないじゃん?」
-…。
「それってタラシ宣言?」
「タラシとか言うなって、まぁ可愛い女の子とは仲良くなりたいけど」
「お前それタラシじゃん!」
笑い合う二人をよそに、私は笑えない。
クラスの男子も、女子さえも、「ヤダー」なんて口では言いながら、まんざらでもなさそうに笑っている。
それなのに、私だけ笑えなかった。
私が知る限り、今まで翔は自分から女の子に告白した事はない。
そんな翔が本気ならまだしも、軽いノリで告白するなんて考えられなくて…
「翔」
一層ざわつく教室の中、私は思わず名前を呼んだ。
「…本気じゃないの?」
「何が?」
何食わぬ顔で返事を返す、そんな翔とは全く逆に、私は顔こそ冷静だろうけど、内心は緊張しながら聞く。
「本気で告ったんじゃないの?」



