13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


……苺先輩?

冷たいばかりだった空気が、やんわりとした暖かさを持ち始めた頃。

新入生がいることにも慣れて、自分が2年生になったことを強く実感するようになった頃の、とある放課後。

部活に向かう途中、通り過ぎようとした玄関で、久しぶりにキミの姿を見付けた。


つま先立ちで、下駄箱の上に必死に手を伸ばしている苺先輩。

何か取ろうとしてんのかな……。

そう察した俺の足は、自然と苺先輩の元へと向かう……けど、

「っ!」

俺が辿り着くよりも先に、苺先輩は勢いを付けて跳んだ。

伸ばした手の先にあったもの……それには見事届いたみたいだけど、上手く取れなかったようで、

ガンッ

っと、音を立てて落ちて、跳ね返った。

……靴?

偶然にも、俺の足元に転がって来たそれは、小さなローファー。

「あちゃー……」

聞こえた可愛らしい声と、そのローファーのサイズに微笑みながら拾って、

「大丈夫?」

手を伸ばそうとした苺先輩に、差し出した。

「はい、ありがとうござ……あっ、翔くん」

苺先輩は、今やっと俺の存在に気付いたみたいで、

「ひ、久しぶり」

驚いた顔をした後、ほんの少しぎこちない笑顔で笑った。