13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


……って、何考えてんだよ。
相手はあの、檜山だぞ?

目が合えば、いつも睨んで見下ろして、口を開けば勝ち気で、ムカつくことばかり言う。

そんな檜山に、こんなこと思うわけねーじゃん。

自分が抱いた気持ちを、必死に否定しようとする……けど、

「……」

今だにドキドキしてる胸。

ありえねー……。

さっき檜山が微笑んだ時、確かに、確かに……

“かわいい”

って、思った自分がいた――。




少しずつ変わっているような気がする、檜山に対する自分の気持ち。

でも、変わっているのは俺だけじゃないように思えた。



「おい、こら翔!女子の方ばっか見てんじゃねーよ!」

部活の途中、同じバレー部の友達に、からかうように指摘された。

「誰見てたんだよ……まさか、檜山さん?」
「っ、んなわけねーだろ!」

一瞬動揺しながらも、否定する……と、声が聞こえたのか、背中を向けていた檜山が、こっちに振り返った。

……交わる視線。

3秒くらい見つめあった後、フイッと静かに視線を逸らしたのは、檜山の方。


2年生に進学して、廊下や部活で顔を合わせても、檜山からケンカを売るような発言は少なくなった。

何というか……大人しくなった気がする。