……って、何考えてんだよ。
相手はあの、檜山だぞ?
目が合えば、いつも睨んで見下ろして、口を開けば勝ち気で、ムカつくことばかり言う。
そんな檜山に、こんなこと思うわけねーじゃん。
自分が抱いた気持ちを、必死に否定しようとする……けど、
「……」
今だにドキドキしてる胸。
ありえねー……。
さっき檜山が微笑んだ時、確かに、確かに……
“かわいい”
って、思った自分がいた――。
少しずつ変わっているような気がする、檜山に対する自分の気持ち。
でも、変わっているのは俺だけじゃないように思えた。
「おい、こら翔!女子の方ばっか見てんじゃねーよ!」
部活の途中、同じバレー部の友達に、からかうように指摘された。
「誰見てたんだよ……まさか、檜山さん?」
「っ、んなわけねーだろ!」
一瞬動揺しながらも、否定する……と、声が聞こえたのか、背中を向けていた檜山が、こっちに振り返った。
……交わる視線。
3秒くらい見つめあった後、フイッと静かに視線を逸らしたのは、檜山の方。
2年生に進学して、廊下や部活で顔を合わせても、檜山からケンカを売るような発言は少なくなった。
何というか……大人しくなった気がする。



