そして、
「あのなぁー、俺とお前……」
そう言って、翔は言葉の途中で口ごもった。
翔と私……?
「何?」
続きが気になって聞いてみるけど、
「や、何でもない」
翔は答えてくれなくて、そのまま教室の前に着いてしまった。
「じゃ!」
1組の翔は私より手前の教室で、何の躊躇いもなさそうに手を上げる。
「……ん」
翔が寂しいと思ってくれるはずないけど、さっきの言葉の続き……少し期待してしまった自分がいるから、余計切なくなって……
私は先を急ぐように顔を背けた。
だけど、
「あ!檜山!」
翔に名前を呼ばれて、すぐさま振り返る。
「俺、今日からバレー部、正式に入部すっから!」
……何てことのない報告。
翔がバレー部に入るのなんか、分かりきっていたし、「まだ入部してなかったの?」なんて、可愛くない返事が喉まで出かける。
でも……嬉しい。
「分かった」
私は皮肉った言葉を飲み込んで、一言返して頷いた。すると、
「おっ、おぉ。そんじゃっ!」
何故か翔は少し焦った様子で、教室の中に入って行った。
「……」
私、何か変なこと言った……?
翔の態度に考えてみるけど、思い当たる節はない。
それに、変なことを言ったのは、どちらかと言えば翔の方。



