13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


そして、

「あのなぁー、俺とお前……」

そう言って、翔は言葉の途中で口ごもった。

翔と私……?

「何?」

続きが気になって聞いてみるけど、

「や、何でもない」

翔は答えてくれなくて、そのまま教室の前に着いてしまった。


「じゃ!」

1組の翔は私より手前の教室で、何の躊躇いもなさそうに手を上げる。

「……ん」

翔が寂しいと思ってくれるはずないけど、さっきの言葉の続き……少し期待してしまった自分がいるから、余計切なくなって……

私は先を急ぐように顔を背けた。

だけど、

「あ!檜山!」

翔に名前を呼ばれて、すぐさま振り返る。

「俺、今日からバレー部、正式に入部すっから!」

……何てことのない報告。

翔がバレー部に入るのなんか、分かりきっていたし、「まだ入部してなかったの?」なんて、可愛くない返事が喉まで出かける。

でも……嬉しい。

「分かった」

私は皮肉った言葉を飲み込んで、一言返して頷いた。すると、

「おっ、おぉ。そんじゃっ!」

何故か翔は少し焦った様子で、教室の中に入って行った。

「……」

私、何か変なこと言った……?

翔の態度に考えてみるけど、思い当たる節はない。

それに、変なことを言ったのは、どちらかと言えば翔の方。