“おはよう”も言わず、かけられた言葉にムッとするけど、周りを見れば確かに邪魔で、私はそそくさとその場を離れた。
……ショック。
がっかりしながら、下駄箱の上履きに手を伸ばしていると、
「クラス離れたな」
追い付いた翔が声をかけてきた。
「……だね」
私が落ち込んでいる理由。
それは、クラス替えの結果。
私は2組で、翔は1組。
また同じクラスになれるとか、そんな都合の良いことを考えていたわけじゃないけど、現実を目の当たりにすると、やっぱり凹む。
こうして並んで上履きを取ることも、一緒に教室に入ることも、
もう……ない。
「何?俺と離れるのが、そんな寂しい?」
階段を登って教室に近付いた頃、翔がからかうような笑みを浮かべて言った。
「……は?」
「だってさ、さっきからずっと黙ってんじゃん?」
「……」
指摘されて初めて、自分が黙り込んでしまったことに気付いた。
翔と離れるのが寂しい……それは、図星。
だけど、
「そんなわけないでしょ!っていうか、翔と離れて清々するし!」
素直な気持ちを言えるわけがなくて、口から出たのは真逆な気持ち。
それを聞いて、翔は「はぁー」っとはっきり聞こえるくらいの、大きなため息をついた。



