本当は嬉しい。
翔の口から私達の話が出たことが、たまらなく嬉しかった。
でも……分からないんだもん。
どうやって返事すればいいのか、どう話を続ければ良いのか、分からない。
下手をしたら、自分の気持ちをスルッと言ってしまいそうで……。
「あー!どうでもいいけど、腹減った!」
伸びをしながら、翔が唐突に言う。
「ちょっと、いきなり大きな声出さないでよ」
驚きつつも話が逸れてくれて、ホッとする……のもつかの間。
翔は鞄の中をゴソゴソと探り始めて、取り出したのは……
私があげたチョコレート。
「えっ、何で」
「食べていい?」
「はっ?……待ってよ!!」
私の言うことなんて聞かず、翔はリボンと包装紙を剥がす。
やだっ……!
心の中で思うけど、声にはならなくて。
本来の予定であれば、チョコを渡したらすぐに帰るはずだった。だから、私の目の前で開けられることなんて考えていなくて……。
あぁ……もう。
こんなことなら、もっと良いチョコ買えば良かった。
そう思って目を伏せると、
「……ぷっ」
小さく笑いを吹き出す声が聞こえた。
「何よっ!どうせっ……」
「安物よ」と、続けようとした声は、翔の顔を見て途切れる。



