13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


本当は嬉しい。
翔の口から私達の話が出たことが、たまらなく嬉しかった。

でも……分からないんだもん。

どうやって返事すればいいのか、どう話を続ければ良いのか、分からない。
下手をしたら、自分の気持ちをスルッと言ってしまいそうで……。


「あー!どうでもいいけど、腹減った!」

伸びをしながら、翔が唐突に言う。

「ちょっと、いきなり大きな声出さないでよ」

驚きつつも話が逸れてくれて、ホッとする……のもつかの間。

翔は鞄の中をゴソゴソと探り始めて、取り出したのは……

私があげたチョコレート。

「えっ、何で」
「食べていい?」
「はっ?……待ってよ!!」

私の言うことなんて聞かず、翔はリボンと包装紙を剥がす。

やだっ……!

心の中で思うけど、声にはならなくて。

本来の予定であれば、チョコを渡したらすぐに帰るはずだった。だから、私の目の前で開けられることなんて考えていなくて……。

あぁ……もう。
こんなことなら、もっと良いチョコ買えば良かった。

そう思って目を伏せると、

「……ぷっ」

小さく笑いを吹き出す声が聞こえた。

「何よっ!どうせっ……」

「安物よ」と、続けようとした声は、翔の顔を見て途切れる。