13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


檜山のことだから、「嫌よ」とか、「何であんたと」とか、一言であっさりと断るだろう。

そう思ったのに――、

「……うん」

聞こえた返事に、思わず檜山の顔を確認すると、

……。

檜山は鼻から口元に手を当てて、俺から目を逸らしていた。

隠れた顔は、やっぱり赤くなっているような気がして、目は潤んでいるように見える。

「ひや……」
「じゃあ、先に学校出るから!」
「え……?」

「誰かに見られたら、厄介でしょ!」

そう言って、檜山は逃げるように教室を出て行った。


パタパタと廊下を走る足音が、耳に残る。

何だ……これ。

胸の中がサワサワして、気持ち悪い。
自分自身の行動が、よく分からない。

いつも少し見上げて見る、檜山の顔。

その身長が羨ましくて、悔しくて、憎らしくて、異性として意識して見えたことなんか、一度もなかった。

だけど今日は……

“女の子”に見えて――。


それは、“バレンタイン”という日のせいなのか、

“付き合っている”という状況のせいなのか、

それとも他に何か理由があるのか、

何なのかよく分からないけど、


「本当……調子狂う」