「ばっ!バカにしないでよっ!!」
熱があるかないか判断する前に、俺の手は払い除けられた。
別に、バカにしたつもりじゃなかったんだけど……。
キョトンとする俺に、檜山は「じゃあね」と言って、背を向けようとする。
「え……用事はっ?」
焦って声をかけると、
「今渡したじゃない」
檜山は眉をしかめて言った。
渡した……?
ゆっくりと目を向けるのは、今もらったばかりのチョコレート。
檜山の用件って、これを俺に渡すこと……?
“別れる”ってことだったんじゃないのか……?
「……」
予想外のまさかの展開に、言葉を失う。
そんな俺を不思議そうな目で見た後、檜山はもう一度背中を向けて、ドアに向かって歩き出した。
何を思ったのか分からない。
ただ、体が勝手に動いて――。
「……待って!」
教室を出る一歩手前で、俺は檜山の腕を掴んで止めていた。
「な、何?」
振り返った檜山が予想以上に近くて、焦って手を離しながら、一歩下がる。
「あ……あの、一緒に帰らねぇ?」
「……」
黙ったまま、目を見開く檜山。
俺、何言ってんの……?
自分でも、どうしてこんなことを言い出したのか分からなくて、ただただ恥ずかしくて、今度は俺が目を逸らした。



