13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「ばっ!バカにしないでよっ!!」

熱があるかないか判断する前に、俺の手は払い除けられた。

別に、バカにしたつもりじゃなかったんだけど……。

キョトンとする俺に、檜山は「じゃあね」と言って、背を向けようとする。

「え……用事はっ?」

焦って声をかけると、

「今渡したじゃない」

檜山は眉をしかめて言った。


渡した……?

ゆっくりと目を向けるのは、今もらったばかりのチョコレート。

檜山の用件って、これを俺に渡すこと……?
“別れる”ってことだったんじゃないのか……?

「……」

予想外のまさかの展開に、言葉を失う。

そんな俺を不思議そうな目で見た後、檜山はもう一度背中を向けて、ドアに向かって歩き出した。


何を思ったのか分からない。
ただ、体が勝手に動いて――。

「……待って!」

教室を出る一歩手前で、俺は檜山の腕を掴んで止めていた。

「な、何?」

振り返った檜山が予想以上に近くて、焦って手を離しながら、一歩下がる。

「あ……あの、一緒に帰らねぇ?」

「……」

黙ったまま、目を見開く檜山。


俺、何言ってんの……?

自分でも、どうしてこんなことを言い出したのか分からなくて、ただただ恥ずかしくて、今度は俺が目を逸らした。