13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「今日、バレンタインでしょ!」

言いながら檜山はもう一度、俺の前に箱を付き出す。

マジで……チョコ?

「……」

驚いて声も出せず、ボーッとそれを見つめる俺に、

「いらないんだねっ!ごめんねっ!」

檜山は怒ったような表情を浮かべ、その手を下げようとしたけど……、

次の瞬間、その表情は目を見開いて、驚いたものに変わる。

理由は……、

「もらう。もらうよ」

俺が檜山の腕を掴んで、チョコを受け取ろうとしたから。

「……いしないでよ」
「ん?」

「勘違いしないでよ?一応付き合ってるんだから、あげといた方がいいのかなって、思っただけ……だから」

「あ……うん」

頷きながらも、檜山の言葉は頭に入っていない。

耳に入った言葉より気になるのは……目に入った檜山の顔。

何でこいつ……こんなに赤くなってんの?

俺から目を逸らしている檜山の顔は、これほどにないくらい赤く染まっていた。

「檜山……」

小さく名前を呼ぶと、檜山はチラッとこっちを見る。

「お前、熱でもあんの?」
「っ!?」

俺は檜山に一歩近づいて、額に手を伸ばした。