「今日、バレンタインでしょ!」
言いながら檜山はもう一度、俺の前に箱を付き出す。
マジで……チョコ?
「……」
驚いて声も出せず、ボーッとそれを見つめる俺に、
「いらないんだねっ!ごめんねっ!」
檜山は怒ったような表情を浮かべ、その手を下げようとしたけど……、
次の瞬間、その表情は目を見開いて、驚いたものに変わる。
理由は……、
「もらう。もらうよ」
俺が檜山の腕を掴んで、チョコを受け取ろうとしたから。
「……いしないでよ」
「ん?」
「勘違いしないでよ?一応付き合ってるんだから、あげといた方がいいのかなって、思っただけ……だから」
「あ……うん」
頷きながらも、檜山の言葉は頭に入っていない。
耳に入った言葉より気になるのは……目に入った檜山の顔。
何でこいつ……こんなに赤くなってんの?
俺から目を逸らしている檜山の顔は、これほどにないくらい赤く染まっていた。
「檜山……」
小さく名前を呼ぶと、檜山はチラッとこっちを見る。
「お前、熱でもあんの?」
「っ!?」
俺は檜山に一歩近づいて、額に手を伸ばした。



