廊下から見えた教室。
少しドキッとしたのは、光が洩れていたから。
誰か残ってんのかな?
それとも……。
考えると何だか緊張して、俺は教室の前で一度深呼吸してから、ドアを開けた……けど、
「何だ……誰もいねーじゃん」
すっかり冷えきって、人の気配を全く感じさせない教室。
肩の力がストンと抜けた。
とりあえず、自分の席まで歩いて行って、机の上に鞄を下ろす。
女子バレー部も、同じくらいに片付けを始めていた。
だからもうすぐ、檜山も来るはず……。
「……はぁ」
特に落ち込むことなんてないけど、何となく出たため息。
俺が考えるに、やっぱり檜山の用件は、“別れて”ってことだと思う。
きっと、好きな奴のことが忘れられなくて、そいつにチョコをあげたとか、あげたいだとか、そういうことが絡んでて……、
バレンタインの今日、檜山はあんな顔をして、俺を呼び出したんだと思う。
うん、そう。絶対そうだ。
でも、
「わざわざ呼び出したりなんか、しなくていいのに……」
もともと、軽すぎるリでの交際なんだから。
それに、付き合っていると言っても、それらしいことはひとつもしてないのだから。
そんなことを、考えていた時だった。



