13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


そう思いながらも、そんなところが苺先輩らしくって、

「ありがとうって、伝えといて下さい」

俺も苦笑しながら、言った。

「了解!じゃあ、今日も頑張ろうね!」
「はい、ありがとうございました!」

中野先輩は軽く手を振って、部室の方へと歩いて行く。


それを見て、俺も急ごうとするけど、

あれ……?

俺は足をピタッと止めた。

そして、ゆっくりと視線を向けたのは、苺先輩からのチョコレート。

手作りみたいだけど、小さなそれは考えなくても義理チョコだって分かる。

それでも、もらえるなんて思っていなかったから……苺先輩が俺のことを忘れていなかったと思うだけで、心は穏やかな温かさに包まれている。

“嬉しい”この気持ちは本物。

なのに、何でだ……?

今日のある時点までは、苺先輩のことで頭がいっぱいだった。

苺先輩と西藤先輩のことを考えたりして、あんなにも切なくなったりしていたのに。

俺、忘れてた――?

他でもない、苺先輩のこと。
中野先輩に会うまで忘れていた。

いつの間にか、頭の中は別の人のことでいっぱいになっていて。


切り替わった時点は、あの休憩時間。

考えていた人の名前は……

檜山――?