そう思いながらも、そんなところが苺先輩らしくって、
「ありがとうって、伝えといて下さい」
俺も苦笑しながら、言った。
「了解!じゃあ、今日も頑張ろうね!」
「はい、ありがとうございました!」
中野先輩は軽く手を振って、部室の方へと歩いて行く。
それを見て、俺も急ごうとするけど、
あれ……?
俺は足をピタッと止めた。
そして、ゆっくりと視線を向けたのは、苺先輩からのチョコレート。
手作りみたいだけど、小さなそれは考えなくても義理チョコだって分かる。
それでも、もらえるなんて思っていなかったから……苺先輩が俺のことを忘れていなかったと思うだけで、心は穏やかな温かさに包まれている。
“嬉しい”この気持ちは本物。
なのに、何でだ……?
今日のある時点までは、苺先輩のことで頭がいっぱいだった。
苺先輩と西藤先輩のことを考えたりして、あんなにも切なくなったりしていたのに。
俺、忘れてた――?
他でもない、苺先輩のこと。
中野先輩に会うまで忘れていた。
いつの間にか、頭の中は別の人のことでいっぱいになっていて。
切り替わった時点は、あの休憩時間。
考えていた人の名前は……
檜山――?



