13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


苺先輩の友達、中野先輩。

先輩はバスケ部で、同じく体育館を利用するから、こうして会うことはよくある。でも、

「どうかしたんですか?」

「いたいた」と、俺を探していたことを意味する言葉に、珍しく思って駆け寄った。

「うん、ちょっと渡してって、頼まれてるものがあって……」

言いながら、中野先輩は手にした紙袋の中身を、ガサゴソ探る。

チラッと見えたのは、色とりどりの可愛い包み。
今日はバレンタインだから、きっと友達からもらったんだろうな……と、思った。
バレンタインって、男よりも絶対女の方がもらえてる。

そんなことを考えて、中野先輩を待っていたら、

「これ、苺から!」

そう言って差し出されたのは……チョコレート。

「え……」

イチゴがプリントされた、ナイロン製の小さなラッピング袋。
その中にはトリュフみたいなチョコが、2つ入っている。

「本当はさ、直接渡したかったみたいなんだけど……“翔くんに迷惑かけちゃいそうだから”って」

中野先輩は苦笑する。

西藤先輩と付き合ったことで、有名になってしまった苺先輩。
“迷惑”の意味は、聞かなくても分かった。

気にしなくてもいいのに……。