苺先輩の友達、中野先輩。
先輩はバスケ部で、同じく体育館を利用するから、こうして会うことはよくある。でも、
「どうかしたんですか?」
「いたいた」と、俺を探していたことを意味する言葉に、珍しく思って駆け寄った。
「うん、ちょっと渡してって、頼まれてるものがあって……」
言いながら、中野先輩は手にした紙袋の中身を、ガサゴソ探る。
チラッと見えたのは、色とりどりの可愛い包み。
今日はバレンタインだから、きっと友達からもらったんだろうな……と、思った。
バレンタインって、男よりも絶対女の方がもらえてる。
そんなことを考えて、中野先輩を待っていたら、
「これ、苺から!」
そう言って差し出されたのは……チョコレート。
「え……」
イチゴがプリントされた、ナイロン製の小さなラッピング袋。
その中にはトリュフみたいなチョコが、2つ入っている。
「本当はさ、直接渡したかったみたいなんだけど……“翔くんに迷惑かけちゃいそうだから”って」
中野先輩は苦笑する。
西藤先輩と付き合ったことで、有名になってしまった苺先輩。
“迷惑”の意味は、聞かなくても分かった。
気にしなくてもいいのに……。



