13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


いやいや、まさか。

だってそれって、檜山が俺のこと好きみたいじゃん。
それはない、絶対にない。

それに、檜山には誰か好きな奴が――。

思い出した瞬間、「そうか」と思った。

悲しそうな顔は、そいつを思っての表情だったのかもしれない。
俺と好きな奴を、重ねたりしたのかもしれない……。

そっか、そういうことか。
何だ……。

自分の憶測に妙に納得して、肩の力と気が抜けた。



だけど、どうしてだろう。

檜山の悲しそうな顔が、頭から離れなくて――。


放課後、体育館に向かいながらも考える。

部活が終わった後、教室に来てと、檜山からの呼び出し。

一体何なんだろう……。

今日はバレンタインで、普通に考えると“チョコ”だ。
でも、檜山に限ってそれはあり得ない。
中学の時から一緒にいるけど、檜山からは一度たりとももらったことはないから。

じゃあ……。

ふっと頭を過ったのは、逆のパターン。
それは、“別れる”ということ。

これなら……。

あり得る、そう思った時だった。

「いたいた!」

体育館を目の前にして、聞こえた声。

俺がパッと顔を上げると、目の前にいたのは……

「中野先輩!」