え――。
一瞬目に入った、檜山の顔。
その表情に俺は言葉をなくすけど、俺が突然振り返ったせいか、檜山はそれをパッと消して、驚いた顔をした。
そして、
「今日部活終わったら、教室に来てっ!」
少し焦った様子でそう言った。
「……は?」
「来なかったら、ノート返さないから!」
“あっかんべー”とばかりに舌を出して、檜山は手にしていたノートを俺に見せた。
「あっ!それっ……!」
週末に提出した、地理のノート。
「返せ」と言う前に、檜山は背を向け、小走りで逃げて行った。
「……」
追って取り返せばいいのに、そうしようとはせず、檜山の姿をただ目だけで追う。
檜山はみんなのノートを配っていた途中だったらしく、手際良く机の上に乗せて歩いている。
何なんだよ……あいつ。
ノートを返してくれないことではなく、
何であんな顔してたんだよ……。
檜山の見せた表情に、疑問を抱いた。
さっき、瞬間的に見てしまった表情。
それは……悲しそうな顔だった。
『チョコ、いくつもらったの?』
思い出すのは、檜山の言葉。
もしかして、嫉妬……?
“彼女”だから――?
そう考えれば、つじつまが合うけど、



