13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


え――。

一瞬目に入った、檜山の顔。

その表情に俺は言葉をなくすけど、俺が突然振り返ったせいか、檜山はそれをパッと消して、驚いた顔をした。

そして、

「今日部活終わったら、教室に来てっ!」

少し焦った様子でそう言った。

「……は?」
「来なかったら、ノート返さないから!」

“あっかんべー”とばかりに舌を出して、檜山は手にしていたノートを俺に見せた。

「あっ!それっ……!」

週末に提出した、地理のノート。

「返せ」と言う前に、檜山は背を向け、小走りで逃げて行った。

「……」

追って取り返せばいいのに、そうしようとはせず、檜山の姿をただ目だけで追う。

檜山はみんなのノートを配っていた途中だったらしく、手際良く机の上に乗せて歩いている。


何なんだよ……あいつ。

ノートを返してくれないことではなく、

何であんな顔してたんだよ……。

檜山の見せた表情に、疑問を抱いた。


さっき、瞬間的に見てしまった表情。

それは……悲しそうな顔だった。


『チョコ、いくつもらったの?』

思い出すのは、檜山の言葉。

もしかして、嫉妬……?
“彼女”だから――?

そう考えれば、つじつまが合うけど、