13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「翔!お前に来客!」

授業の合間の休憩時間。
クラスメイトの声に、俺はハッとドアを見た。

目が合って、満面の笑顔で大きく手を振るのは……同中出身の、他のクラスの女子。

やっぱ違う……か。

俺は肩を落として、席を立った。


「はい!ハッピーバレンタイン!」
「……ありがとう」

俺は差し出された、小さな赤い袋を受けとる。

「どうしたの?元気ないじゃん」
「そんなことねーよ?」

指摘されて、慌てて笑顔を作るけど、

「えー、絶対元気ないよ。毎年今日はめっちゃテンション高かったもん!あ、今年は少ないんでしょ?」

去年までの様子をよく知る女子は、あっさりと否定して、ニッと笑う。そして、

「ほら、あのちっさい先輩?あの人ばっかと仲良くするから、こうなるんだよー」

バシッと俺の腕を一度叩いて、「みんなにサービスしないと!」と、ケラケラ笑った。


別にチョコの数が少なくて、落ち込んでいるわけじゃない。

むしろ、これ以上欲しくない。

なのに、落ち込んでいるように見えるのは……期待している自分がいるから。

もらえないって、来ないって、頭では理解しているのに、誰かが来る度に期待している……。