13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「うっわ!そういうの、うぜー」

友達は俺の肩を軽く突き飛ばして、その隙に俺はチョコを鞄へ入れた。

本当に、すっかり忘れていたバレンタイン。

中学の時は何個もらったとか、友達と勝負したりして、結構気にしていたのに……今年は頭の中に、欠片もなかった。

それに、もらったチョコだって、数だけ頭に入れていて、あとは友達に平気であげていた。

だけど……今年はそうすることが、無性にためらわれた。

チョコ自体が欲しいわけでもなければ、あのクラスメイトが好きなわけでもない。

ただ、俺のことを想ってくれてるのかな……ってことと、「返事はいらない」と、始めから諦めた様子が、俺を切なくさせた。

気持ちには応えられないけど、きちんと受け取っておきたいと思った。

こんな風に思うようになったのは、“片想いの気持ち”が痛いほど分かるからかもしれない。


「翔ってさ、毎年どのくらいもらってんの?」

ウザいと言いながらも、聞いて来た友達に、

「さぁね」

俺はわざと、余裕な笑顔を浮かべた。


何個もらえたとか、数的なことはどうだっていい。

本当に欲しいのは、好きな人からただひとつ――。