「あっ、俺は岡田 翔って言うんで!」
「岡田…くん」
先輩は小さな声で苗字を呼ぶ。
「いや、翔って呼んで下さい!」「え、えぇ!?」
特に何かを意識したわけじゃない。女子の友達にも、名前で呼ぶ人は沢山居る。
「ダメですか?苺先輩」
「苺先輩?何で下の名前に…?」
「だって、苺とか可愛い名前、呼ばなきゃ損じゃないですか!」
苺先輩は少し顔を赤らめて、「ありがとう」と小さく礼を言う。
「だーかーら、俺の事も翔って呼んで下さい!」
「えっと、それは…」
「お願いします!」
こうなったら引くわけにはいかない。俺は両手を目の前に合わせて、お願いする。
「…わかった」
返事を渋らせていた苺先輩だけど、何かを決意したみたいに頷いた。
「翔くん、でいいかな?」
「はいっ!ありがとう、苺先輩っ!」
名前で呼んでくれた事が、とても嬉しくてたまらなかった。
呼び方一つだけど、仲良くなれた気がした。
自信過剰かもしれない。
だけど、微笑んでくれる彼女を見ると、
振り向いてくれるような気がしてたんだ…。



