13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……」

返事とかいらない?……返事?

意味が全く分からず、手にした箱をぼーっと見ていると、

「翔!朝からやるじゃん!」

俺の首に腕をかけるようにして、後ろから話しかけて来たのは、バレー部の友達。

「やるじゃん……って、何が」
「しらばっくれるなよー。それ、チョコだろ?」

チョコ……。

「……あ」
「何知らなかったみたいな顔してんだよ。ムカつくー」

そう言いながら、笑う友達。

「本当に知らなかったんだよ」と、心の中で呟いた。

そうか……今日は2月14日、バレンタインデーだったんだ……。

手に持ったチョコレートをもう一度見て、走り去ったクラスメイトの後ろ姿に目を向ける。

「どうすんの?」

ニヤニヤしながら聞く友達に、

「別に……」

返事はいらないと言っていたし、俺は考えることなく、ぼんやりと答えた。

「ひっでー。じゃあ、そのチョコちょうだい!」

友達は俺の手から、チョコを奪おうとするけど、俺は避けるようにチョコを上に上げた。

「何だー。いらないわけじゃないんだー?」

やっぱりニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべてからかう友達。

「何個もらったか、分かんなくなるだろ」

軽く舌を出して、俺は咄嗟にごまかした。