13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「さみっ……」

朝の風は肌を刺すように冷たくて、俺は身震いしながら、首に巻いたマフラーを口元まで上げる。

寒いと感じ始める頃まで、決まって立ち止まっていた場所。
そこを素通りして、学校へ向かうのにも、もう馴れた。

隣に誰もいないことに、もう馴れた。

……本当に馴れたはずなのに、ほんの少し切ないのは、きっと冬という季節のせいだ。


「岡田くんっ!」

背後から突然名前を呼ばれて振り返ると、クラスメイトの女子。

呼び方で違うと分かっているのに、心の底で期待した自分が恥ずかしい。

クラスメイトは、走って来たのか息を弾ませていて、顔は少し赤みをおびている。

「おはよ」

俺が軽く挨拶すると、

「おはよっ!あのねっ……」

肩にかけた鞄を下ろして、ファスナを開ける。
そして、鞄の中から何かを取り出すと、

「これっ!」

俺の目の前に差し出したのは、ピンクの包装紙で包まれた、四角い箱。

「え……」

反射的に、とりあえず受け取る。

「あ、渡したかっただけだから!返事とかいらないからっ!」

それだけ言うと、クラスメイトは鞄を肩にかけ直して、走り去った。