手作りチョコ。
それは藤原先輩への、クリスマスプレゼントのお返しになる予定だった。
私なんかの手作りチョコを、先輩は欲しいと言ってくれた。
私には似合わないのに……先輩だけは私を“女の子扱い”してくれた。
「佳奈?」
先輩のことを思い出して、思わずしゅんとしてしまったあたしに気付いたのか、都が心配そうに名前を呼んだ。
「……とにかく、手作りチョコはなし!」
私は自分の気持ちを吹き飛ばすように言って、手作りコーナーとは逆方向の棚へと歩き出した。
「もー……、作るの手伝ってあげるのにー」
「都が手伝ったら、味見で全部なくなっちゃうでしょ」
「あっ、ばれてた?」
「とうぜ……」
“当然”そう言おうとしたのに、言葉が途切れる。
「都……私、これにする」
ふと目に入ったチョコレート。
私は迷うことなく、それに手を伸ばした。
「えっ!そんなんにしちゃうの!?」
隣で都が驚いた声を出すけど、私は「うん」と、頷く。
「あいつ、バレーバカだから」
言いながら、私は微笑んでいた。



