13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「……」

都は固まって、しばし沈黙した後、

「……ちょっと待って。今、何て言った?」

声を震わせながら、聞いてきた。

「だから、先輩とは別れて、翔と付き合ってるんだってば」

私が投げやりに、もう一度答えると、

「えーーっ!? うそっ!?」

都は退りしてしまうほど、大きな声で驚きをあらわにした。

「こんな、ついたって虚しいだけの嘘つかない」

“翔と付き合ってる”
この言葉が自分でも信じられなくて、恥ずかしくて、くすぐったいのに。

「なっ!何で!? どうしたらそんな展開になったの!?」
「どうしたらって……」

全てを話すのは難しくて、コートをつかんで距離を縮める都に困る。

だけど、簡単に言うとすれば……

「私が翔を諦めきれなくて、先輩と付き合ってたのに、都合の良いことしちゃったの」

私が言ったとたん、都の表情から興奮した様子はサッと消えて、コートをつかんだ手は、するりと離された。

「佳奈……」

思い詰めた表情で、私を見る都にビクビクしてる。

「自己中に先輩フっておきながら、翔へのチョコ買いに来るとか、本当都合良いよね」

都に心の中で思われるのが嫌で、自ら言葉にした。