「買い物付き合ってって……まさかチョコっ!?」
バレンタインの特設売り場。
そこで足を止めた私を見て、都が驚いた声を上げた。
「わ、悪いっ?」
恥ずかしくて都の顔が見れず、言いながら目の前の物に、適当に手を伸ばす。
今日は日曜日。
都を誘って買いに来たのは、ご指摘通りバレンタインチョコ。
ひとりで買いに来るのは何だか心細くて、こういうことを一番話せる都を誘ったのだけど、間違いだったかもしれない。
顔を見なくても、都がニヤニヤと嫌な笑いを浮かべていることは分かる。
もう。私がバレンタインとか、そんなに可笑しいかな……。
ほんの少し落ち込んで、拗ねてしまいたくなった時、
「そうだよね〜。佳奈、ちゃっかり彼氏いるんだもんねー。照れちゃって可愛いー」
言いながら、都は私の背中をポンッと叩いて、「どれがいいかなー?」と、並んで選び始めた。
「あ……」
大切なことを言うのを忘れていたことに、今気づいた。
都はまだ先輩と付き合ってると思ってて、翔とのことも……もちろん知らない。
「都、あのね」
流れるバレンタインの曲に合わせて、鼻歌を歌う都に、
「先輩とは別れて……翔と付き合ってるんだ」
ドキドキしながら告白した。



