13センチの片想い。私とアイツの恋の距離



「買い物付き合ってって……まさかチョコっ!?」

バレンタインの特設売り場。
そこで足を止めた私を見て、都が驚いた声を上げた。

「わ、悪いっ?」

恥ずかしくて都の顔が見れず、言いながら目の前の物に、適当に手を伸ばす。

今日は日曜日。
都を誘って買いに来たのは、ご指摘通りバレンタインチョコ。

ひとりで買いに来るのは何だか心細くて、こういうことを一番話せる都を誘ったのだけど、間違いだったかもしれない。

顔を見なくても、都がニヤニヤと嫌な笑いを浮かべていることは分かる。

もう。私がバレンタインとか、そんなに可笑しいかな……。

ほんの少し落ち込んで、拗ねてしまいたくなった時、

「そうだよね〜。佳奈、ちゃっかり彼氏いるんだもんねー。照れちゃって可愛いー」

言いながら、都は私の背中をポンッと叩いて、「どれがいいかなー?」と、並んで選び始めた。

「あ……」

大切なことを言うのを忘れていたことに、今気づいた。

都はまだ先輩と付き合ってると思ってて、翔とのことも……もちろん知らない。

「都、あのね」

流れるバレンタインの曲に合わせて、鼻歌を歌う都に、

「先輩とは別れて……翔と付き合ってるんだ」

ドキドキしながら告白した。