13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


ひとり黙々と空気を入れる藤原先輩のもとに、ある男子が駆け寄って来た。

先輩と並ぶと、一段と小さく見える彼は……翔。

ひと言ふた言言葉を交わして、翔は先輩を手伝い始めた。


藤原先輩が私のお願いを聞く理由なんてない。むしろ聞かない方が、理にも適ってるかもしれない。

だけど、聞いてくれてる。

核心が持てるわけじゃないけど、ふたりの様子を見て、そう感じた。


「佳奈ちゃん、本当は藤原先輩のこと、まだ好きなんじゃないの……?」

ふと耳に入った小さな声。
私は驚いて、引き戻されるように、そっちを向いた。

「ごめん。何か、すごく切なそうな顔して見てたから……」

申し訳なさそうに言ったのは亜耶で、他の友達たちはいつの間にか、近くにいなくなっていた。

切なそうな顔……。

「……違うよ」

私も小さな声で返事して、また翔と先輩の方を見た。

私がそんな顔をしていたのは、先輩を好きだからじゃない。

先輩が……優しいから。

その優しさに、胸を痛めずにはいられなくて、顔に出てしまったんだと思う。

「……そっか」

聞こえた返事に、また亜耶を見ると、

今度は亜耶が切なそうな、悲しそうな微笑を浮かべていた。