13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「先輩?」
「あ…はいっ?」
「大丈夫ですか?」
「うん」

敬語とタメ語が入り交じる姿と、軽く笑う姿が可愛いらしい。
そして、少し考え事をする仕種を見せた後、先輩は口を開いた。

「つまりは…好きって言っても、付き合うとかではないんだよ…ね?」

少し…心が痛む。

「あのぅ…」

心配そうに声をかける先輩に、俺はふっと笑顔を作った。

「いくら俺でも、名前も知らない人と付き合おうとか思わないっすよ~!」
「は、はい…」

また…嘘をついた。

もし、先輩にその気があったら、本当は今すぐにでも付き合いたかった。

だけど、先輩にそんな気はない。

だったら、今は友達になる事が先決だと思った。

「そうだっ!」
「何っ!?」

先輩は驚いた様子でこっちを見る。

「俺、今日先輩の名前聞こうと思ってたんですっ!名前はっ?」
「えっと…津田 苺です」
「津田…いちごっ!?」

思わず声が裏返る。

「はい」

先輩は恥ずかしそうに頷いた。

「いちごって、あのイチゴっ!?」
「はい」
「珍しいっすね!」
「ははっ…よく言われます」

今まで聞いた事のない名前に、驚かずにはいられない。

でも、可愛いらしくて、先輩にお似合いの名前だと思った。