「先輩?」
「あ…はいっ?」
「大丈夫ですか?」
「うん」
敬語とタメ語が入り交じる姿と、軽く笑う姿が可愛いらしい。
そして、少し考え事をする仕種を見せた後、先輩は口を開いた。
「つまりは…好きって言っても、付き合うとかではないんだよ…ね?」
少し…心が痛む。
「あのぅ…」
心配そうに声をかける先輩に、俺はふっと笑顔を作った。
「いくら俺でも、名前も知らない人と付き合おうとか思わないっすよ~!」
「は、はい…」
また…嘘をついた。
もし、先輩にその気があったら、本当は今すぐにでも付き合いたかった。
だけど、先輩にそんな気はない。
だったら、今は友達になる事が先決だと思った。
「そうだっ!」
「何っ!?」
先輩は驚いた様子でこっちを見る。
「俺、今日先輩の名前聞こうと思ってたんですっ!名前はっ?」
「えっと…津田 苺です」
「津田…いちごっ!?」
思わず声が裏返る。
「はい」
先輩は恥ずかしそうに頷いた。
「いちごって、あのイチゴっ!?」
「はい」
「珍しいっすね!」
「ははっ…よく言われます」
今まで聞いた事のない名前に、驚かずにはいられない。
でも、可愛いらしくて、先輩にお似合いの名前だと思った。



