13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


あいつも恋とかするんだ……。

そもそも、檜山の好きな奴って誰だ……?

クラスの奴ら、バレー部の奴ら、色々思い浮かべてみるけど、誰も違う気がする。

好きな人がいる奴で、こんなに見当のつかない奴も珍しい。


本当に失恋なのかよ……。

そう自分の憶測を疑うけど、廊下の真ん中で泣きそうな顔をしていた檜山は、何度も見た苺先輩の姿と重なって見えた。

だから、放っておけなかったのもあるし、

始めて見るあいつのあんな姿に、純粋に心配になった気持ちもあった。


てか、あいつ自分のこと言わなさすぎ。

檜山のことはかなり知ってると思ってた俺だけど、思い返せば話すのはいつも俺のことで、実は何も知らないのかもということに、今気付いた。

何か俺が無理矢理、話聞かせてるみたいじゃん。
もっと話せっつーの。


「……かだ、岡田!」
「はっ?」

いきなり耳に入った自分を呼ぶ声に、顔を上げると……
目の前には先生の顔。

「聞いてたか?」

冷たく笑顔を浮かべる先生に、

「……すみませんでした」

俺は素直に謝った。


何あいつのことばっか考えてんだろ。


ただ、あの泣きそうな檜山の顔が、頭から離れなかった――。