あいつも恋とかするんだ……。
そもそも、檜山の好きな奴って誰だ……?
クラスの奴ら、バレー部の奴ら、色々思い浮かべてみるけど、誰も違う気がする。
好きな人がいる奴で、こんなに見当のつかない奴も珍しい。
本当に失恋なのかよ……。
そう自分の憶測を疑うけど、廊下の真ん中で泣きそうな顔をしていた檜山は、何度も見た苺先輩の姿と重なって見えた。
だから、放っておけなかったのもあるし、
始めて見るあいつのあんな姿に、純粋に心配になった気持ちもあった。
てか、あいつ自分のこと言わなさすぎ。
檜山のことはかなり知ってると思ってた俺だけど、思い返せば話すのはいつも俺のことで、実は何も知らないのかもということに、今気付いた。
何か俺が無理矢理、話聞かせてるみたいじゃん。
もっと話せっつーの。
「……かだ、岡田!」
「はっ?」
いきなり耳に入った自分を呼ぶ声に、顔を上げると……
目の前には先生の顔。
「聞いてたか?」
冷たく笑顔を浮かべる先生に、
「……すみませんでした」
俺は素直に謝った。
何あいつのことばっか考えてんだろ。
ただ、あの泣きそうな檜山の顔が、頭から離れなかった――。



