13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

☆翔side☆


「すみません、遅れました!」

化学室のドアを開けると、みんなが一斉にこっちを向いた。

教壇の気難しそうな男の先生は、一度真上にある時計を見た後、「どうしたんだ?」と短く聞く。

「檜山さんが廊下で気分悪そうにしてたんで、保健室に連れて行ってました」
「分かった。席に着きなさい」

出席簿にチェックを入れる先生を横目に、俺は小走りで席へと着いた。

するとすぐ、トントン……と、軽く肩を叩かれる感触。振り返ると、真後ろにいたのは女子で、

「佳奈、体調悪かったの?」

と、聞いてきた。

はっきりとは覚えていないけど、確か檜山と一緒に教室を出ていたような気がする。

体調悪かったの?……って、

「気付かなかった?」
「うん、ちょっとぼーっとしてたけど、佳奈何も言わなかったし。着いたらいないから、びっくりしてた」
「そっか」
「体調悪いなら、言ってくれれば良かったのに……」

本当、言えばいいのに……。

そう思いながら、俺はまた前を向いた。

檜山って、自分のことを極端に我慢する癖がある。

中学の時、怪我しているのを黙って、試合に出ようとしたこともあったっけ……。