13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


振り返る翔の顔を見れなくて、私は目をそらす。

「大丈夫だから……」

取り繕うように言うと、

「何が大丈夫だよ。今にもぶっ倒れそうな顔しといて」

目の前から聞こえたのは、翔の呆れ声。

「……」

今にも倒れそう……なんて、そんなに酷い顔を、私はしているんだろうか。

でも、自分では気付かなかったけど、あながち間違いではないかもしれない。
昨日はあまり眠れなくて、言われてみれば、体調も良くない。

「ほら、早くしないと休憩終わっから」

翔はもう一度、私の手を取ろうとしたけど、

「っ大丈夫だからっ!」

私はそれを避けるように、手を上げてしまって、目に映ったのは、翔の少し驚いた顔。

「ちゃんと歩けるから……」

――触れないで。

翔を追い越して、私はひとり歩き出した。


可愛くない。本当に可愛くない。

でも、触れて欲しくなかった。

翔に触れられた手が、ジンジンと熱い。

翔と一緒にいると、ドキドキして……。

先輩を傷付けておきながら、こんな調子の良い自分が嫌だった。

だから、一緒にいたくない。

なのに――

「……何でついて来んのよ」