振り返る翔の顔を見れなくて、私は目をそらす。
「大丈夫だから……」
取り繕うように言うと、
「何が大丈夫だよ。今にもぶっ倒れそうな顔しといて」
目の前から聞こえたのは、翔の呆れ声。
「……」
今にも倒れそう……なんて、そんなに酷い顔を、私はしているんだろうか。
でも、自分では気付かなかったけど、あながち間違いではないかもしれない。
昨日はあまり眠れなくて、言われてみれば、体調も良くない。
「ほら、早くしないと休憩終わっから」
翔はもう一度、私の手を取ろうとしたけど、
「っ大丈夫だからっ!」
私はそれを避けるように、手を上げてしまって、目に映ったのは、翔の少し驚いた顔。
「ちゃんと歩けるから……」
――触れないで。
翔を追い越して、私はひとり歩き出した。
可愛くない。本当に可愛くない。
でも、触れて欲しくなかった。
翔に触れられた手が、ジンジンと熱い。
翔と一緒にいると、ドキドキして……。
先輩を傷付けておきながら、こんな調子の良い自分が嫌だった。
だから、一緒にいたくない。
なのに――
「……何でついて来んのよ」



