戸惑う先輩の姿にから、何を言おうとしているのか、すぐに分かった。
「昨日の事ですか?」
「そうっ!あれ…は冗談だよね?」
その言葉で、俺は直感した。
今…告白しても-…。
「冗談じゃなく、本気っすよ!俺、先輩の事好きですから!」
「え…そんなっ…!」
ほら…。
直感が確信へと変わる。
フラれたくない…。
「俺、女の子だぁーい好きですから!」
咄嗟に嘘をついた。
「ユカ、リサおはよっ!」
「おはよぉー」
ちょうど隣を通り過ぎようとした、同じ中学出身の女子に挨拶する。
「ってか、制服似合うねっ!」
フラれたくない…。
その思いから、精一杯軽い男を演じる。
「翔、昨日も同じ事言ってんじゃん!ばーか」
「マジでっ!?」
もともとお調子者な性格のせいか、ノリの良い女子だったせいか、不信に思われる事はなかった。
「翔、じゃあね!」
「おうっ!」
手を振って女子達を見送った後、少しドキドキしながら先輩の方に向き直る。
すると、先輩はこっちを向いてこそいるが、焦点が合わず、ぼーっとしていた。



