13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


戸惑う先輩の姿にから、何を言おうとしているのか、すぐに分かった。

「昨日の事ですか?」
「そうっ!あれ…は冗談だよね?」

その言葉で、俺は直感した。

今…告白しても-…。

「冗談じゃなく、本気っすよ!俺、先輩の事好きですから!」
「え…そんなっ…!」

ほら…。

直感が確信へと変わる。

フラれたくない…。

「俺、女の子だぁーい好きですから!」

咄嗟に嘘をついた。

「ユカ、リサおはよっ!」
「おはよぉー」

ちょうど隣を通り過ぎようとした、同じ中学出身の女子に挨拶する。

「ってか、制服似合うねっ!」

フラれたくない…。
その思いから、精一杯軽い男を演じる。

「翔、昨日も同じ事言ってんじゃん!ばーか」
「マジでっ!?」

もともとお調子者な性格のせいか、ノリの良い女子だったせいか、不信に思われる事はなかった。

「翔、じゃあね!」
「おうっ!」

手を振って女子達を見送った後、少しドキドキしながら先輩の方に向き直る。

すると、先輩はこっちを向いてこそいるが、焦点が合わず、ぼーっとしていた。