13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


え……。

だから、しょうがないとばかりに、目線を上げて、友達を追い掛けようとした瞬間だった。

こっちに向かって歩いて来る、二人の男子。

その片方の人が視界に入った瞬間、ビクッとして足が止まった、身体が固まった。

友達と笑いながら、次第に近付いて来る、背の高いその人は、

藤原先輩−…。


…やだ!どうしよう。

ドクンドクンと鳴る心臓。

それを隠すみたいに、胸の前で教科書をギュッと抱く。

自分でも可笑しいくらい、気が動転している。

とにかく、立ち止まってたら変。
普通に…しなきゃ。

ゆっくりと足を前に進めてみる…けど、自分の足じゃないみたいに、スムーズには動かない。

それでも近付く、私と先輩の距離。

嫌だ……。

「……」

顔がハッキリと確認出来る距離に、私は俯いた。

だけど−…

通り過ぎる…正にその瞬間、私は顔を上げて、先輩の表情を確認していた。

そして……愕然とした。

別に睨まれたりとか、したわけじゃない。
胸を刺すような、悲しい笑顔を向けられたわけでもない。

ただ、通り過ぎただけ。

私のことなんか見向きもせずに、まるで知らない人のように。