13センチの片想い。私とアイツの恋の距離

♪佳奈side♪


「…な……佳奈っ!」

休憩時間の騒がしい教室。
頬杖をついて考え事をしていた私は、友達の呼ぶ声に慌てて顔を上げた。

「何っ?」

目の前には二人の友達。

「何、じゃないよー。次、移動教室!置いてくよ?」
「あ…ごめん」

周りを見れば、次々と教室を出ていくクラスメート達。
頭の中は他のことでいっぱいで、移動教室とか、すっかり忘れていた。

机の中から、教科書などを慌てて取り出して、席を立つ。

「何かあったの?今日ずっと、ボーッとしてるよ?」
「え……」

何か…。ありまくりだけど……言えない。

「ううん、何でもない」

私は笑った。



“何でもない”と、言いながら、またボーッとしてる。

私は二人並ぶ友達の背中を、黙って着いて行く…けど、歩く早さが違って、だんだんと開いていく距離。

お喋りに夢中になっていて、二人は気付く様子はない。

ずっと考えていることは…他でもない、藤原先輩のこと。

……変なの。
付き合っている時よりも、別れてからの方が、気になるなんて。

でも、そういうものなんだと思った。

人をふるって、そうい…う……。