パタンと、音を立てて閉めたドア。
お母さんが心配した理由は、私が一番よく分かってる。
下を向いた瞬間、零れるように落ちた雫。
「…っ……」
心配されたのは、私が泣いていたから−…。
泣いたって許されないことは、分かってる。
むしろ、泣いている私はずるいと思う。
藤原先輩と別れたかったくせに。
翔と付き合いたかったくせに。
泣く資格なんかないのに、
涙はぽろぽろと止まらない。
脳裏に浮かんで、私を離さないのは…最後に見た、先輩の寂げな笑顔。
別人みたいだった怒った表情よりも、そっちの方が苦しくて、
藤原先輩を深く傷付けてしまったことに、初めて気付いた…。
ドアに背中をピッタリとくっつけたまま、私はズルズルとその場に座り込む。
そして、鞄をあさって携帯を取り出した。
ゆらゆらと揺れるのは、先輩から貰ったストラップ。
それを見て思い出したように、ゆっくりと顔を上げて、私が見たのは勉強机。
そこには、私のキャラじゃない、可愛いテディーベア。
それは、クリスマスに藤原先輩がくれた物。



